主要キーレイアウトのキーとその Scancode まとめ

概要

PS/2 キーボードの scancode を、その起源となるらしいいわゆる XT とか 83 キーボードから、昨今日本で一般的ないわゆる JIS とか 109 キーボードまで、Scancode set 1,2,3 とともに1つの表にまとめた。 一部特殊なキーは別の表でも説明している。各キーレイアウトの No. は元となる仕様書で定義されるキー位置番号であり、それぞれ本文書後半にて引用した画像にて画像でも示す。

各キーレイアウトとスキャンコード

Note 列に *1, *2, *3, *4 が記載されているキーについては、Scancode set 1, 2 が歴史的経緯により特殊な構成となっているため、別途下記で解説する。 なお Scancode set 3 についてはそのような経緯はあまりないらしくすっきりした構成となっている。元々 IBM 3270 PC や一部のワークステーションのキーボードで使われていたようだが、あまり使われず今日ではほぼ気にしなくていい存在の模様。 一次資料が全然見つからないのでふんわりとした説明で濁しておく。

*1: 一部の特殊キー（KP-/, PrintScreen, Pause キーを除く）

Scancode (set 1) が E0 47, E0 48, E0 49, E0 4B, E0 4D, E0 4F, E0 50, E0 51, E0 52, E0 53, つまり Home, Up, PgUp, Left, Right, End, Down, PgDn, Insert, Delete のキーについては元々テンキーで Num Lock オフ時に発生するキーのため、Shift や Num Lock もしくはその両方の組み合わせでの scancode が特殊になっている。 なお参考資料には、Shift キーを両方押した場合、左右の scancode が送られるとある(If both Shift keys are down, both sets of codes are sent with the other scan code.)が、左右の順序までは記載されていないので、基本となる左が先だろうと推測した上で下記表は書いてある。 もしかしたら右側が先かもしれないし、どちらが先でもよいのかもしれないし、正解は分からずじまい。たぶん後者な気がするが、正解分かる方は教えてほしい……。

*2: KP-/ キー

Num Lock に関係しないテンキーである KP-/ も特殊な scancode となっている。ただし Num Lock が関係しないので Base と Shift の2パターンのみ。 こちらも左右の Shift を同時に押している場合の scancode については前項と同様。

*3: PrintScreen キー

Table 1 に示したとおり、PrintScreen キーの scancode は Base Case が特殊になっている。これはこのキーの成り立ちに由来する。 Table 1 や Figure 1 で示すとおり、5150, XT の 83 キーボードでは PrintScreen は KP-* の Shift Case に割り当てられたキーだった。 そのため Base Case が普通の Shift Case のような scancode になってしまっている。逆に、Shift Case は prefix の E0 がついただけの普通の scancode になっている。 ただし Alt Case は全く異なり、SysReq の scancode が発生する仕様となっている。 SysReq キーは AT (84) キーボードで単独のキーとして追加されているが、101 や 102 キーボードでは単独のキーとしては存在しなくなり、PrintScreen キーと合体することになった。 オーソドックスなキーボードであれば、キーキャップの手前側などに "SysReq" などと印字されており、それはこのキーコンビネーションで使えることに由来する。 以下の Table 3 に上記をまとめる。ややこしいので実際の scancode も併記する。

System Request

When the System Request (Alt and Print Screen) key is pressed, ...

*4: Pause キー

Pause キーについては、標準的なキーボードであれば Pause と Break がセットで印字されており、scancode としてもこの2つのキーを定義している。 こちらも Table 1 に示したとおり、大変特殊な scancode になっている。 これは Pause も Break も当初（5150, XT, AT の 83/84 キーボードの頃、つまり 101 キーボード等の現代の一般的な配列以前の頃）は存在せず、複数キーのコンビネーションで発生するキーだったため、単独の scancode を割り当てられていなかったからだ。 キーコンビネーションとしては、Pause は Ctrl+Num Lock であるので、基本の scancode は prefix の E1 をつけて Make と Break を一遍に発生するような仕様となっている（）。 Break は元々 Ctrl+ScrollLock のキーコンビネーションで発生するキーだったので、Ctrl Case として定義されており、こちらも Make と Break を一遍に発生する仕様となっている。 そのため、どちらの場合も物理的なキーとしての Break は発生しない、というか定義されていない。 ちなみに上記仕様により、キーを押し続けてもそれを感知してもらえない。 以下の Table 4 に上記をまとめる。こちらもややこしいので実際の scancode も併記する。

Ctrl: ... with the Scroll Lock key to cause the break function; and with the Num Lock key to cause the pause function.

各キーレイアウトとキー位置番号

参考資料

IBM Personal Computer Hardware Reference Library TECHNICAL REFERENCE PN 6025008 First Edition (Aug. 1981)

IBM PC 5150 の仕様書

IBM Personal Computer Hardware Reference Library TECHNICAL REFERENCE PN 1502494 First Edition (Mar. 1984)

IBM PC AT (5170) の仕様書（初版）

IBM Personal Computer Hardware Reference Library TECHNICAL REFERENCE PN 6183355 Revised Edition (Mar. 1986)

IBM PC AT (5170) の仕様書（改訂版）

OADG テクニカル・リファレンス（ハードウェア）第5版 (2000年9月)

JIS 配列の基となる、というかそのものである OADG 109A 配列や AX 配列などが書かれた仕様書

Japanese Keyboard (layout and scancode)

このページを作るきっかけ (?) となったページ。趣旨はこのページと非常に近く、scancode やキーボーとレイアウトについて細かくまとめてある。非常に詳しいので大抵はこのページで事足りると思われる。自分のまとめたい方向と異なるのもあり、自分でも似たようなページを作ることにした。そういう意味できっかけ。